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林野庁・林政審議会において「自伐型林業」が明記されました。

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林野庁は林政審議会の資料(林業経営と林業構造の展望2、ほか)において、「自伐型林業」を明記し、その担い手として「自伐型林業事業者」を位置づけました。林野庁が公的な文書で「自伐型林業」を正式に使ったのは初めてのこと。

林政審議会は林業政策の重要事項を調査審議する場で、資料が出された2020年(令和2年)11月16日は、5年毎に見直される「森林・林業基本計画」(2021年5月に変更予定)が議論された回でした(2020年12月9日時点確認|配布資料一覧はコチラ)。


(下部に「自伐林家」と「自伐型林業」が併記 PDFはコチラ

都道府県や全国の地方自治体においては、自伐型林業の支援策を検討する際に、この言葉が国家機関で使われているかどうかで展開が大きく変わるため、自伐型林業の推進にとって画期的なことといえます。


(下部に「自伐・自伐型」と明記 PDFはコチラ


(「事例」に高知へ移住した自伐型林業を営む夫妻資料5「新たな山村価値の創造」より


(自伐型林業を展開する自治体(群馬県みなかみ町)の事例も資料5「新たな山村価値の創造」より

これまで自伐については、2015年(平成27年)の「まち・ひと・しごと創生基本方針2015」において、「自伐林家を含む多様な担い手の育成・確保を進める」との政府方針が掲げられ、16年(平成28年)の「森林・林業基本計画」では「自己所有森林を中心に専ら自家労働等により施業を実行する林家等」(自伐林家を意味する)が既存の民間事業体や森林組合と「相補的」な担い手として位置づけられました。

「自伐林家等」といった文言がある一方で、所有の有無にこだわらず長期的な森林経営を行う「自伐型林業」事業者は、森林を所有してないために中途半端でどこにも位置づけられていませんでした。

当会は同年(2016年)の「森林・林業基本計画」案に対して意見を提出し、18年の「全国森林計画」のパブリックコメントで、「自伐林家や所有者から長期的に施業を任されている自伐型林家等」を林業経営者・施業者の主体として位置づけ、明記することを求めました。

こうした提言の積み重ねを経た18年(平成30年)、国会における「森林経営管理法」の附帯決議では「自伐林家や所有者から長期的に施業を任されている自伐型林家等は、地域林業の活性化や山村振興を図る上で極めて重要な主体の一つ」(衆議院附帯決議第13項・参議院附帯決議第13項)と明記されました(関連リンク)。

小さな一歩の積み重ね。牛歩。まさに「蝸牛の歩み」です。

確実な一歩とはいえ、中身をよく見ると、林業の主軸となる「効率的かつ安定的な林業経営の主体」から外れているなど、これまでの大規模林業を補足する程度の扱いあることがわかります。また、林野予算全体(約3000億円)における自伐型林業への支援は明確なものもなく、活用できるものはわずか1%ほどです(この点については日本唯一の林業専門番組ZIBATSUニュースで掘り下げます)。

言葉だけでなく、実をつくる活動を続けられるよう、当会は今後も政策提言活動を続けていきたいと思います。

※全国の自伐型林業事業者を支援し、社会に位置づける政策提言活動は、当会への寄付者のみなさんによって続けられております。

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【関連映像】
◎日本唯一の林業専門番組「ZIBATSUニュース」◎
【第72回】「自伐型林業」が“公用語”になる日

【関連記事】
■林政審議会(令和2年11月16日)配付資料一覧
https://www.rinya.maff.go.jp/j/rinsei/singikai/201113si.html

■林政審議会施策部会(令和2年11月27日)配付資料一覧
https://www.rinya.maff.go.jp/j/rinsei/singikai/201126_2.html

→そのうち「令和2年度森林及び林業の動向(第1部 森林及び林業の動向)」にて「自伐林家・ 自伐型林業経営体」と明記
https://www.rinya.maff.go.jp/j/rinsei/singikai/attach/pdf/201126_2-1.pdf

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