自伐協について

自伐型林業推進協会設立趣意書・定款

設立の経緯や動機などを含んだ趣意書・定款、団体概要です。

団体概要

名称特定非営利活動法人持続可能な環境共生林業を実現する自伐型林業推進協会
(略称:自伐型林業推進協会)
住所〒105-0003 東京都港区西新橋1-4-12 新第一ビル5階
設立2014年5月9日(法人設立登記)
代表理事中嶋健造(プロフィール
理事笠松 浩樹(副代表理事)
橋本 光治
四宮 成晴
上垣 喜寛
田口 壽洋
伊藤 典明
監事高月 渉
スタッフ
(2024年7月現在)
7人(常勤)・4人(非常勤)・他業務委託契約スタッフ
主な事業自伐型林業の担い手育成のための研修事業
自伐型林業推進のためのネットワーク創出事業
自伐型林業に関する自主調査研究および技術開発事業
自伐型林業の普及啓発事業
自伐型林業に関する政策提言事業
定款・規定定款(PDF)
個人情報保護方針
法令遵守の体制
事業報告書2023年度事業報告書(PDF)

設立趣意書

 自伐型林業とは、限られた森林の永続管理と、その限られた森林から持続的に収入を得ていく林業です。森林の経営や管理、施業を山林所有者や地域が自ら行う、自己責任型の林業です。収入アップのためには、木材の質の向上や森の多目的活用を目指すため、森を良好に維持していくことは必須条件となります。収入をあげる施業と良好な森づくりを両立させる、地域に根ざした持続可能な環境保全林業といえます。

 現在の日本では、これとは違った林業が展開されています。山林所有者や地域の多くは、自ら施行せず、森林組合や業者に作業を委託する他者依存型の林業になっています。近年は、生産性を重視する(上げる)施業に向かい、高性能林業機械化、大規模化に突き進んでいます。その結果、例えば実際は4人雇用するために1億円もの機械投資をし、年間1千万円ほどの修理費を支払い、1日200~400リットルもの燃料を消費する、高投資・高コスト型林業になってしまっています。木材の収穫ばかりを目指し、材の乱獲や大規模な作業道敷設による環境破壊を誘発するケースが増えています。

 国の林業政策はそれを進めるように山林所有者と施行者を切り離した「所有と施業の分離」を前提に展開しました。その結果、中山間地域からは林業が消え、林業実施者は森林組合のみという地域も多くなり、産業とは言い難い悲惨な状況になっています。“林業衰退”の主な原因は、この「他者依存型の林業」と、「所有と施業の分離政策」にあります。

 この現行林業の問題点と欠点を根本的に解決できる手法が「自伐型林業」です。限られた山から持続的に収入を得るために、施行者らが長伐期・択伐施業を自然と行い、小面積単位で長期的な経営の中から再造林のコストと労働を捻出します。収入を上げていくために、良木生産や森林の多目的利用(森業・山業の付加)を意識し、森林環境を良好に維持する方向性が生まれていきます。自伐型林業は、持続的経営と森林環境保全を担保できる方式です。

 昨今の林業からは、この自伐型林業が忘れ去られ、特に2009年に展開した「森林・林業再生プラン」は「山林所有者や地域は林業に関心を無くし、実施能力がない」という前提に立ち、この問題や欠点の多い、所有と施業を分離した“他者任せの林業”一辺倒の政策となり、自伐型林業を政策の対象外に置いてしまいました。高知県内の山林所有者や地域住民に独自アンケートを取ってみると、十分に意欲を持ち、森林経営や林業実施能力を持っている結果が出てきております。前提およびそれをもとにした判断は誤っているとも言えます。

 高知県のNPO法人「土佐の森・救援隊」にて自伐林業推進を実施し始めると全国で、それに呼応する動きが現れ出しました。今、全国で自伐型林業家や自伐型林業チームが増え始め、導入を検討する地域や自治体も増えてきました。

 自伐型林業の特徴は、長期的視点に立ち持続可能な森林経営をおこない、環境保全・共生型の施業を展開し、木材生産だけでなく森業・山業的な仕事を生み出します。大きな機械投資は必要なく、2トントラック、3トンクラスのミニユンボー、林内作業車程度でよく、すべて揃ってなくてもスタートでき、また副業からも始められ、低投資で参入容易であるため地域が対応しやすく、就業力も現行林業に比べ10倍近く大きいということもわかってきました。

 この優れた林業が日本において新たな展開ができれば、本当の林業再生のみならず中山間地域にとっては再生の大きなきっかけになります。都市からの大きな人口還流を起こすことも可能となるでしょう。

 可能性ある自伐型林業ですが、現在支援する団体もなく、行政支援もほとんど受けられない状況です。この状況を打破していくために、自伐型林業支援組織を立ち上げ、ネットワーク化していきたいと考えております。地域展開をスムーズに行うため、国の政策に押し上げるため、意志ある皆様の協力を仰ぎたいと思います。

「設立趣旨書」PDF版ダウンロードはこちら

 

沿革

2014年5月 特定非営利活動法人登記完了、法人設立。
2014年7月 メールマガジン発行。
2014年11月 参議院「地方創生に関する特別委員会」で地方方創生担当大臣が自伐型林業に対して「地方創生の鍵としたい」と発言。

2015年4月  国会議員による「自伐型林業普及推進議員連盟」(代表: 中谷元衆院議員)設立。当会が連携開始。
2015年5月 「新たな持続可能な環境保全型「自伐型林業」の推進基盤づくりと全国普及 」事業を開始(地球環境基金)(〜2019年)
2015年6月 内閣府の「まち・ひと・しごと創生基本方針」に「自伐林家」が記載。
2015年 自治体事業スタート。担い手育成に参画。(岩手県陸前高田市、滋賀県長浜市、鳥取県智頭町)

2016年6月 日本財団「ソーシャルイノベーター」の10組に代表理事・中嶋健造が選出。
2016年7月 「自伐型林業」が掲載された教科書「農業と環境 新訂版」(実教出版)が文科省検定通過。全国の農業高校で使われる。
2016年10月 当会理事兼講師の橋本光治が第55回農林水産祭(主催:農林水産省、日本農林漁業振興会)で「内閣総理大臣賞」を受賞。
2016年10月 「自伐型林業を核とする生業・生活統合型多世代共創コミュニティ・ モデルの開発」事業を開始。(国立研究開発法人科学技術振興機構)(〜2019年)
2016年 新規4自治体で担い手育成事業を開始。(静岡県熱海市、群馬県みなかみ町、奈良県下北山村、恩賜林組合(山梨県一市二村による特別自治体))

2017年12月 「環境共生「自伐型林業」の全国展開期における中期事業推進計画策定を通じた組織基盤強化事業」事業を開始。(PanasonicNPOサポートファンド)(〜2018年)

2018年2月 「森林経営管理法案への提言」を発表。
2018年4月 「 山林の持続的分散経営形態「自伐型林業」による雇用創出・耐災害化の推進」事業を開始(日本財団)(〜2019年)
2018年4月 当会理事兼講師の橋本光治が「旭日単光章」を受賞。
2018年5月 「森林経営管理法案と環境保全」メディア向け勉強会を開催。
2018年6月 会員を「サポーター会員」(無償)として募集開始。
2018年 新規2自治体で担い手育成事業を開始。( 神奈川県大磯町、山口県下関市)

2019年4月 ショートムービー「2人で林業」を配信。
2019年5月 「国有林野管理経営法改正案に対する声明」を発表。「国有林野管理経営法改正案を考える会」を設立し、記者会見。
2019年7月 日本唯一の林業専門番組「ZIBATSU(じばつ)ニュース」を配信スタート。以後、毎週配信。
2019年7月 「自伐型林業塾」開設のためにクラウドファンディングを実施。
2019年12月 「自伐型林業塾」が開所(新型コロナウイルス蔓延により後年に本格実施)
2019年 新規2自治体で担い手育成事業を開始。(奈良県御杖村、兵庫県養父市)

2020年4月 厚生労働省「林業就業支援事業」に協力。(〜2021年)
2020年4月 「森林の持続的分散経営形態「自伐型林業」による台風豪雨に強い持続的な山林と国土づくりの推進」事業を開始(日本財団)
2020年6月 短編アニメーション「200年後の森」(制作:梅原デザイン事務所)を発表。
2020年8月 「失業者を救う自伐型林業参入支援事業」(JANPIA)を開始。特定非営利活動法人地球と未来の環境基金とコンソーシアムを組み、仲介支援事業を本格スタート。
2020年9月 会報誌『 200年の森をつくる 』 創刊。
2020年9月 「​​環境性と経済性を両立する持続可能な広葉樹林業の普及加速」事業を開始(パタゴニア環境助成)

2020年12月 当会監修のドキュメンタリー映画「壊れゆく森から、持続する森へ」(制作:アジア太平洋資料センター)を発表。
2020年 新規3自治体で担い手育成事業を開始。(岩手県一戸町、富山県氷見市、鹿児島県出水市)

2021年1月 「中山間地域における複業型ライフスタイルモデルの再構築」(JANPIA)を開始。
2021年4月 内閣府「関係人口創出・拡大のための中間支援組織の提案型モデル事業」に採択。
2021年4月 「森林作業道作設指針」が改正。自伐型林業に必須の幅狭の作業道について「2.0m程度の幅員設定も含め、検討するものとする」と記載。これまで2.5m以上のみの補助からそれ未満も補助対象に。
2021年6月 「森林・林業基本計画」発表。明記はされないものの、他の林業事業体とともに「専ら自家労働等により作業を行い、農業などと複合的に所得を確保する主体等」と主体の一つとして併記され、「地域の林業経営を前述の主体とともに相補的に支えるものであり、その活動が継続できるよう取り組む」と記載。(同計画添付の林政審議会資料には「自伐林家」および「自伐型林業事業者」と明記あり)
2021年9月 林野庁の「森林・林業白書」に自伐型林業が特集掲載される。
2021年9月 「災害と林業〜土石流被害と林業の関係性の調査報告〜」を発表。
2021年10月 国内外で環境保全活動を続ける団体が表彰される「日韓国際環境賞」を受賞。
2021年11月  地球環境基金の「ベストプラクティス事業」に選出。
2021年 新規5自治体で担い手育成事業を開始。(岩手県宮古市、岩手県九戸村、神奈川県南足柄市、広島県安芸太田町、熊本県美里町)

2022年2月 「「トレイルラン×自伐型林業」プロジェクト〜森で走り、森に学び、森を育てる〜」事業を開始。(パタゴニア環境助成)
2022年6月 全国の農林高校で使われる教科書「森林科学」(令和4年版/文科省/実教出版)に自伐型林業の記述が掲載。
2022年9月 総額1億円の「自伐型林業地域実装による森の就労支援事業」(JANPIA)を開始。
2022年 新規6自治体で担い手育成事業を開始。(秩父地域森林林業活性化協議会、群馬県みどり市、富山県立山町、京都府福知山市、和歌山県紀美野町、高知県安芸市)

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