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自伐型林業推進協会が第27回「日韓国際環境賞」を受賞

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国内外で環境保全活動を続ける団体を表彰する「日韓国際環境賞」が10月22日に発表され、第27回に「NPO法人自伐型林業推進協会」が選ばれました。

この賞は、地球温暖化などの自然環境の変化に対し、具体的な解決策を示して活動する団体に贈られるもので、「斬新な実践、教育、研究活動」が評価の対象となります。第27回は、最終審査に残った12の個人・団体で審議され、「国内で土石流、海外で森林火災が多発し、山の管理が重要になっている」「費用が安く各地に広がっている」「欧米型手法を変える機会」等の声を集めた当会が選考されました。

設立して8年目の当会ですが、このような名誉ある賞を受賞できたのは、全国で活動されている地域のみなさん、指導に当たってくださった講師のみなさん、調査・研究の協力者のみなさん、会員のみなさん、そして事務局員や外部スタッフの力があってのことです。これからも、自伐型林業を普及推進し、中山間地域の再生のために力を注いでいきたいと存じます。

毎日新聞の記事は、以下からご覧いただけます(リンクはいずれも別ウィンドウで開きます)。

第27回受賞(一部有料記事):https://mainichi.jp/articles/20211022/ddm/010/040/033000c

(自伐型林業指導者、橋本光治氏が6回間伐した樹齢100年超の森=徳島県那賀町で2018年5月/写真:高木あつ子)

第28回「日韓国際環境賞」受賞に寄せて

この度は、重みある賞をいただき、感謝申し上げます。

四つのプレートの淵に位置して複雑な地質と断層の多い日本。その森林は急峻で脆弱な土質が多く、日本の林業の歴史はこの条件との戦だったはずです。急峻な地形はコスト高となり、経済性を優先して広域に森林を伐採すると土砂災害や洪水を発生させ、森林と下流域の環境悪化も進みます。先達たちは数百年の試行錯誤の中で、間伐間の成長量を越えない弱度な間伐を繰返す手法を編み出しました。樹木がある状態を維持することで災害を抑え、高品質材を持続的に生産することで経済的安定も確保するのです。この林業手法は間違いなく当時の世界最高レベルの技術だったはずです。

しかし、その「撫育(ぶいく)」と呼ばれる如く人が木を撫でながら大事に育てていた日本林業は、戦後の高度成長期の中、大型機械に頼って生産性ばかり追いかける「伐採業」に変わり、安易に若齢の低質材を大量生産する皆伐林業となってしまいました。急峻で脆弱土壌では、生産性は思うような結果が得られず、かえって経済的に成立たず、森林の劣化と土砂災害を誘発してしまう林業になってしまったのです。

この劣化した林業と森林を再度、かつての技術を活かしながら、さらに進化させ、森を最大限に活用し守り続けられる本来の日本林業を取り戻すことを目的に再構築したのが自伐型林業です。これまでの展開で、持続的な良質材生産で経済的自立、さらに土砂災害防止、良好な森林環境維持、持続的な炭素固定等の効果を発揮させることを実証できました。この受賞を機に、日本国内のさらなる普及を図り、中山間地域の再生と激増した土砂災害の減少を実現させます。さらに、この間伐を繰返す林業手法は、危機に瀕する世界の森林再生にも貢献できると確信します。

(自伐型林業推進協会代表理事 中嶋健造)

日韓国際環境賞

(主催:毎日新聞社、朝鮮日報社 後援:環境省、外務省、大韓民国大使館)

この日韓国際環境賞は、戦後50年、また、日本と大韓民国(以下、韓国)の国交回復30周年という節目の年である1995年に、毎日新聞社と韓国・朝鮮日報社により共同で創設され、今年で27回目を迎えました。同賞は東アジア地域全体(日本、韓国、北朝鮮、中国、極東アジア、モンゴルなど)を対象として環境保護と公害防止または地域社会に優れた貢献をした個人または団体を日本・韓国に限定することなく顕彰するものです。選考は両社が構成する日本と韓国それぞれの審査委員会によって行われ、各1名または1団体が選考され、共同表彰されます。

日本側審査委員会は、今井通子氏(医学博士・登山家)、原剛氏(早大名誉教授、早稲田環境塾塾長)を含む、6名で構成されています。

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