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「荒れて丸裸の山…」─木質バイオマス発電の「光と影」記事掲載
「生態系を無視した環境破壊に見える。木材需要が増え、間伐材だけでなく、建築用材までバイオマス発電に使われ、はげ山が増えたんだ」
記事の冒頭に登場するのは当協会の林業家・橋本光治理事です。業界紙「日本農業新聞」(2015.12.21)に掲載された木質バイオマス発電に関する記事は、「木材自給率アップ」という耳ざわりのいい話題の影で起こる山林現場の様子を描いたものでした。
実はここ最近、当協会には全国から地域山林の乱伐を心配する声が届いております。その背景の一つには、再生可能エネルギーで注目されている木質バイオマス発電の建設ラッシュがあります。
木材供給の見込みがない中で大きな発電所の建設が先走り、限られた森林資源が取り合いになっている状況を耳にします。そこでは発電用の木材を供給するために、皆伐や大規模な間伐(列状間伐・群状間伐など)をしていくようです。さらに国産材では調達が間に合わないので、海外からヤシ殻などを輸入して発電用に使うという「持続可能」や「自給」とは180度真逆の現象まで起こっています。
囲み記事「専門家 こう見る」で九州大学の佐藤宣子教授が「山の特性を考えず、伐採量だけにこだわる大規模な皆伐がどんどん進めば、持続可能な林業は望めない」と警鐘を鳴らしています。
いったい何をもって持続可能というのか。大きな投資をした地域や企業にとっては目をそらしたい現実かもしれませんが、一度立ち止まって考える時期が近づいてきているのかもしれません。
【関連記事】
■木質バイオマス発電施設完成、中越パルプ工業川内工場(読売新聞 2016.1.3)
http://www.yomiuri.co.jp/kyushu/local/kagoshima/20160104-OYS1T50065.html
■木質バイオマス発電は、「魔法の杖」ではない(バイオマス産業社会ネットワーク/泊みゆき)
http://www.npobin.net/hakusho/2014/hajimeni.html
■木質バイオマス 秋田市に発電所(河北新報 2015.4.1)
http://www.kahoku.co.jp/tohokunews/201504/20150401_42033.html
■伸び悩む再生可能エネルギー、木質バイオマスだけ着実に増加(ITmedia 2015.12.21)
http://www.itmedia.co.jp/smartjapan/articles/1512/21/news031.html
【関連書籍】
■『バイオマス材収入から始める副業的自伐林業』(全国林業改良普及協会/中嶋健造編著)
■『林業新時代─「自伐」からひらく農林家の未来』(農文協/佐藤宣子・興梠克久・家中茂著)
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