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新しい自伐の姿 「ZIBATSU」ポスター完成

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自伐型林業のポスターが完成しました。新しい「ZIBATSU(自伐)」の姿です。この制作段階では、デザイナーの梅原真さんと様々なやりとりがありました。自伐型林業推進協会の設立段階からの経緯とともに、このポスターにかけた思いやエピソードをお伝えします。

「おまんらは話が長い」。翻訳者兼デザイナーとつくるポスター

 「こんなに長い団体名は初めてですね」
 当協会が設立する2014年のこと、銀行口座を開設しようと並んだ窓口で、担当者が微笑みながらボソッと口にしました。私達の団体名は、自伐型林業推進協会。正式名称は、「持続可能な環境共生林業を実現する自伐型林業推進協会」。団体名が長ければ説明資料も長い。400字詰めの原稿用紙4枚を超える「設立趣意書」は、読み手の気持ちそっちのけの自分たちの思いを伝えようと懸命に書き綴ったものでした。
 ある日、自伐型林業の動きの原点とも言える高知県で会議をしていると、同席していたデザイナーの梅原真さん(高知県出身)がこう言いました。
 「おまんら(あなたたち)の気持ちはようわかる。でも、話はとにかく長いし、専門的過ぎて誰にも分からん」
 一つの用語を解説しようとすれば、また別の専門用語が出てくる。まるで迷路に入ったような錯覚に陥るのが林業界です。しっかりと伝えようと努力すれば努力するほどドツボにハマる。梅原さんは私たち(自伐協事務局)を「まるでコミュニケーションのない人たち」と笑った後、こう言いました。
「私の役割は翻訳者です。翻訳するのも、デザイナーの大事な仕事の一つ」。

和服にチェーンソーの女性林業家

 デザイナーの梅原さんが制作したポスターに映る和服姿でチェーンソーを握る女性は、2016年に夫婦で内閣総理大臣賞を受賞した橋本延子さんです。当会の講師である橋本光治さんとともに長年夫婦で山に通い、良質な森林を作りながら子や孫を育ててきた、ホンモノの林業家です。日本舞踊や生花のお師匠を務められ、昼間は作業服にヘルメット姿で山に行き、日が暮れると「踊りのお稽古がある」と、この着物姿で出かけていきます。
 梅原さんは、あるシンポジウム(「ジバツって何?!」会議)でこの橋本延子さんと出会っていました。その時の姿が和装だったのです。ポスター制作の会議の場で梅原さんは、出会った時の延子さんを思い起こし、「イメージは延子さん。山の中で和服を着てチェーンソーを持つ延子さんでいく」と言いました。丁寧に仕事をする橋本夫妻の姿が「ジバツ」を表すものだと話し、この作品が作り上げられていきました。

新しい「ZIBATSU(自伐)」に向けて

 「もうかる」というフレーズは、森林資源をゴソッと伐り出し、売り渡して収入を上げるものとはまったく違います。当会代表の中嶋健造は、梅原さんに渡した資料にこう書きました。
「自伐型林業の基本は『いい山をつくり、後世に残す』こと。長期的視点で適正な間伐を繰返すことにより、高品質で多様な材を生産します。すると、生産しながら在庫(蓄積量)が増えていきます。これが持続的森林経営の極意で「もうかる林業」となります。この手法は自伐でないと展開できないので「自伐」が大事なのです」。
 全国の自伐型林業者が目指す山を作っている橋本夫妻。無理のない道具(高性能林業機械に頼らない)で、壊れない道を作り、多間伐を繰り返して森林資源を維持し(大規模な皆伐など一過性の収入は追わず)、家族の暮らしを中心にした林業経営を続けているジバツの姿がこの一枚に現れています。新しい「ZIBATSU」をぜひみなさんで広げていきましょう。

(遊び心ある梅原さんはある会議で突然こんな看板を持参することも。両手をかけた看板の文字にある「はちよん」は、高知県土の森林率(84パーセント)にちなんだもの。「クライ森を『はちよ〜ん』と呼んでアカッルクしています」というNPO「84プロジェクト」と自伐型林業推進協会がタッグを組んだフォーラム用のものです)

【関連記事】
■8月4日に「84自伐フォーラム」が開催されます。
https://zibatsu.jp/wordpress/info/event/84zibatsu

■橋本家「脱サラ・非皆伐が行き着いた自伐の道」(徳島県那賀町)
https://zibatsu.jp/wordpress/person/hashimotofamily

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