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「自伐型林業」が教科書に採択決定─「学校教育プロジェクト」も始動
農業高校が使用する教科書に「自伐型林業」が掲載されることになりました(出版社:「実教出版」より)。「農林漁家の未来をひらき、林業新時代をつくっていくことが期待されている」と明記された教科書は、全国の農業高校の必修科目「農業と環境」に使われるもので、すでに文科省検定が済み、平成29年より実際に使われる予定です。これから農林業を学び、その道で仕事をしようとしている学生たちの学習ツールです。また、教科書への採用により、学生に教える教師たちも自伐型林業を学ぶことになります。
実際に使われる「農業と環境」(実教出版/平成29年度版)
自伐協の12プロジェクトの一つ「学校教育プロジェクト」は、自伐型林業が幅広い年齢層に浸透し、これから農林業を志す人材の基礎的知識・教養として定着することを目指すものです。主に大学教授などの教育機関関係者、子育て世代の担い手グループ、そして事務局メンバーが中心となって進めていきます。
このプロジェクトの目標は、社会的な動きに発展してきた自伐型林業の動きを、これから農林漁業に携わる人材の基礎的知識として定着させるとともに、今まで当たり前のように思われてきた林業についての「常識」や誤解を解いていくことにあります。
例えば、終戦以降に全国で広がった戦後造林から50年以上経った現在、“人工林は伐期を迎えている”という「常識」があります。その常識をもとに、50年を超えた木を一斉に伐採する「皆伐」「50年更新」が当たり前のように展開されています。高性能林業機械の普及がその流れに加わり、環境負荷のかかる林業施業が広がる基礎的土壌にもなっています。
人工林には200年の樹齢を超えるスギやヒノキもあり、多様な地形・気候で育った木がすべて同じ寿命として決めつけるのはそもそも無理があります。一律ではない多様な自伐型林業の形態や、個人やグループによる自伐型林業の存在を学校教育の段階で学ぶのは重要です。農業とかけ合わせた兼業型の自伐の経営形態などを学ぶことで、改めて中山間地の暮らしの軸には林業がある、という認識につなげられます。
このプロジェクトに関する今後の動きとして、教科書の採択に続き、学習指導要領でも自伐型林業が協議・検討される予定です。自伐協は、民間から始まった教育プロジェクトである「森のようちえん」との協業を進め、幅広い地域・市民で自伐型林業が広がるような展開を進めていく予定です。
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