自伐型林業家紹介
滝川景伍「山と人をつなげる『森の編集者』」(高知県佐川町)
(撮影:西岡千史)
人生、いつどこで何が起こるかわからない。林業とはまったく無縁のサラリーマンが脱サラし、縁もゆかりもない地域に家族と移り住み、自伐(じばつ)型林業を始めた。高知県佐川町に住む滝川景伍さん(38)だ。
趣味の写真を仕事に活かそうと、大学卒業後に出版社に勤めた。土日出勤は日常茶飯事、締切前には終電で帰宅という日々。生まれたばかりの子どもの顔を見る間もなく働いたが、「こんな暮らしを続けていいのだろうか」と思い悩んだ。
もとは山が好きだった。「小さく始めて、生業になる林業がある」と自伐型林業を知り、心が躍った。「危険だし、稼げないでしょ」という両親の心配をよそに2014年、自伐型林業で町おこしをしている高知県佐川町に家族とともに移住した。
(滝川さんが住む佐川町の斗賀野地域/撮影:西岡千史)
朝は二人の子供を送り届け、家事を済ませて山に行き、日が暮れる前には自宅に戻る。東京時代の暮らしを振り返り、「考えられないぐらい健康的な暮らしになりましたね」と笑う。仕事も順調。月15日ほど山に入り、道を作り、木を切り出す。余計なコストをかけない林業で、経済的に十分成り立っている。町の支援で40ヘクタールほどの山を管理させてもらうようになり、「一生分の仕事場がここにあり、山を守る持続的な林業を続けられます」と語る。
佐川町が自伐型林業の推進をスタートして8年間で、滝川さんのように素人から参入して生まれた林業者は約15人。技術を習得中の研修生を含めると30人を数える。台風被害の多い地域にとって、山に根ざして環境を守る役割は貴重な存在だ。
「山の地質や地形に合わせた環境負荷をかけない道を作り、木を切る割合も最小限にしているため、暴風や豪雨に耐えられる山になります。台風の後は風倒木や土砂崩れのチェックもできます。自伐型林業は災害に強いと感じます」。
滝川さんはこれか、高知県内のネットワーク組織「高知地域林業ネットワーク」を設立し、自分のような地域おこし協力隊の自立経営をサポートする。山に残ってしまう木材を薪に加工し、オリジナルブランド「まきのまき」として販売する事業も本格化させる。林業観光にもチャレンジする予定だ。
「元編集者として、山と人をつなげる『森の編集』を通して、地域に貢献していきたいです」。
閉ざされた山を地域に開くような試みへと続いていく。(文/上垣喜寛)
日本唯一の林業専門番組《ZIBATSUニュース》では、地域おこし協力隊を卒業して6年が経過した滝川さんを紹介していきます。
2022年10月に開催された自伐フォーラムでの事例発表をしてくれました(画面クリックで滝川さんの発表から再生できます)
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