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自伐型林業普及推進議員連盟が誕生!─約40人の国会議員が議連の会員に
4月17日に「自伐型林業普及推進議員連盟」が発足しました。昼から始まった立ちあげ総会には、国会議員約20名と、林野庁からは次長、林政部長、経営課長、他幹部も出席。自治体あげて自伐型林業に取り組む高知県佐川町の堀見町長も発表しました。
総会は田野瀬太道衆院議員の司会のもとで始まり、冒頭は中谷元衆院議員が挨拶をしました。
「この議連はまさにこれからの林業、地方の産業、集落の維持をいかに図っていくかという中で、当時の新藤総務大臣がさまざまなプロジェクトチームを立ちあげて、その中に自伐型林業を採用して頂きました。また、みずから作業を行っておられる地域の方々は非常に広がりをもっております。みずから作業をすることによって、みずからの生業を創造し、林業を再興していこうじゃないかという主旨です。新しい林業施策のスタイルとして、確立が図られるような成果を出していただきたいと思っております。どうぞよろしくお願いします」
翌日掲載された高知新聞
つづいて、新藤義孝元総務大臣が立ち、自伐型林業を進めるにあたり、2つの側面からの展開を説明しました。
「ひとつは世界最高の森、森林面積が全体の7割をこえる我が国において、林業をどのように活性化させていくか。大規模な組合型の林業に加えて、小規模であってもきちっと自立できる林業のスタイルを確立していきたいと思っています。また、国をあげて『地方創生』、地域に仕事を作る、そして住んでずっと暮らしていける地域を実現していかなければなりません。その地方創生のモデルとして自伐型林業はきわめて有意義ではないかと思います。林業とエネルギーを加えて、私どもは総務省で分散型エネルギーシステムプロジェクトを進めております。林業とエネルギーを組み合わせることで自伐型林業はその地域において推進役になる。議連を立ちあげて推進していこうと思っております」
あいさつが終わった頃、会場がざわつきました。それは昨年11月、内閣府において当協会が意見交換をさせて頂いていた石破茂地方創生担当大臣が出席されたからでした(参考:石破茂地方創生担当大臣と会談「地方創生委員会で自伐型林業の特集をしましょう」/自伐協HP)。
左から田野瀬衆院議員、新藤元総務相、堀見佐川町長、石破大臣、中谷大臣
あいさつに立った石破大臣は、「日本の(土地の)7割を森林が占めています。どうやって雇用をうみ出すか。農業は所有と経営をどうするかという議論をしていますが、林業は所有と経営が分離されてしまっているということがあります。ここをどうしましょうかという話があります。また自伐型林業と、いままでの森林組合と対極概念で別にやっていくという話ではありません。どうやって自伐型林業で森を守り、雇用を生む、所得を生むか、ということでやっていきたいと思っております」と、競合しているかのように論じられる森林組合などとの共存の方向性を示した上で、自伐型林業を推進する姿勢を示されました。
堀見佐川町長の発表の後、中谷元衆院議員が同議連の会長に選出されました。今まで自伐型林業に関してあまり触れてこなかった林野庁からは、同庁次長があいさつに立ち、「近年、森林組合等へ委託を行わないいわゆる自伐林家、林業の担い手として地域の活性化の主体として注目されていることを認識しております。(議連の)設立をうけまして、自伐林家をしっかり林野行政に位置づけ、促進してまいりたいと思います」と林野行政へ位置づけることを宣言する心強い言葉をのべてくださいました。
「すぐに地方の現場に行くためにこんな恰好ですみません」と言いながら自伐型林業の説明をする中嶋健造
その後、当協会の中嶋代表理事から自伐型林業に関して説明があり、議員との質疑が買わされました(後日、詳細の問答を「その2」でアップ予定)。
40分ほど経過したところで、司会の田野瀬議員から衆院議員30名、参院議員10名の計40名の会員で議連を始めているという報告と、「林野庁と議員とで知恵を出しながらやってきたいと思います」との意志が示されました。最後は新藤元総務大臣が立ち、「私が総務大臣の時代に、各県の知事に会って『自伐って面白い』と言っても、知っている知事はほぼゼロでした。みなさん知らないのです」と、自伐型林業の知名度の低さに触れながら、それを知らせていく活動の重要性を訴えました。
さらに、林野庁がとらえている自伐型林業の定義に触れ、「林野庁の分類では、自伐林家という所有者を指して説明していました。(自伐協代表理事の)中嶋さんが話しているのは、自分の森林を持っていなくても、山主が使っていない森に入り、自分たちで作業しながら永続的に暮らしていける。このスタイルのことを言っています」と説明しました。
自伐型林業のモデルには、専業型の林家もいれば、集落で土地をまとめて地域で行う集落営林型もあります。また、山林を所有しない林業経営もあります。こうした自伐型林業の定義については一部から誤解もあるようですが、当協会が重視しているのは、経営や施業を他者に委託しない主体的な林業です(設立趣意書参照)。学者のなかには、自伐型林業を二分類し、「広義の自伐林業は、…(中略)…地元住民によるボランティアもあり、山林を所有しない林業一人親方も含めて『個人型』の自伐林業と言っていい」と、広義と狭義にわけて説明する学者もおります(興梠克久筑波大学准教授/『国民と森林』第131号)※。
新藤元総務相は、「日本にはこのスタイルが行政上の位置づけはありませんでした。議連としてはこういった仕事を位置づけることが重要と思います」と述べ、さらに、「何かというと補助金をもらうのではなくて、交付金という形で役立てて、それも出したお金を回収する。最終的に利益が出れば、その町の税で戻ってくるわけですから、そんなサイクルをつくっていけば、小さくても積み重なっていけば、日本の大きな役割を示してくれるのではないかという期待を持っています」と触れました。
※参考書籍
『林業新時代─「自伐」からひらく農林家の未来』(農文協/佐藤宣子・興梠克久・家中茂著))
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