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週末に副業きこり 担い手育成へ官民連携
2019年12月02日 11:47

初心者にチェーンソーの使い方から指南した自伐型林業の研修=大磯町内

 平日は会社員、週末は山に入ってきこり-。森林組合や業者などによらない小規模の「自伐型林業」で地域振興を目指す官民の取り組みが、大磯町で広がっている。町の面積の3分の1を占める山林は近年、民間所有者の管理が行き届かず荒廃が深刻化。町は自伐型の担い手育成に向けた研修講座をスタートさせ、町民有志による“ホリデー林業”も動き始めた。「副業として成り立つビジネスモデルを創出したい」。関係者は新たな林業の可能性を模索している。

 「自然が好き。山を守りながら将来的に副業にできたら…」。この秋に町内の山林で行われた自伐型林業の研修講座。全8回の初回に参加した平塚市の40代の女性は目を輝かせた。平日は都内で働く会社員、休日は山に入る「週末林業」を志し、慣れないチェーンソーの扱いに苦戦しながら木々と向き合った。

 「木を切り倒す時、重心がどこにあるのか、しっかり見極められるようにすること」。大半がチェーンソーに触ったこともない素人を相手に極意を伝えるのは、日本人工三大美林の一つ奈良県吉野地方で林業を営む原田勤さん。「管理しない山は木が生い茂り、太陽光が差し込まなくなる。(下草が育たず)雨で土砂災害が起こりやすくなる」と間伐による森林保全の重要性を説いた。

月15万円収入も

研修を受ける自伐型林業の新たな担い手たち=大磯町内
研修を受ける自伐型林業の新たな担い手たち=大磯町内
 約500ヘクタールの山林が広がる大磯。その9割が広葉樹といわれる。かつては燃料用の薪(まき)が切り出されたが、時代の変遷とともにその光景も消えた。木材として使われるスギやヒノキの針葉樹に乏しく、重機で山を切り開く大規模林業は長らく無縁だった。

 「先祖から山を受け継いだが、自分ではどう管理すればいいか分からない。苦情も多くて困っている」と研修に参加した40代の男性は打ち明ける。山林荒廃は治水機能の低下による災害リスクの高まりをはじめ、イノシシによる農業被害の原因にもなっている。

 研修は間伐による山林管理と新産業創出の一石二鳥を図り、町が県内で初めて企画。全国約40自治体で小規模林業の普及を手掛けるNPO法人「自伐型林業推進協会」が協力した。

 主流の林業は大規模な設備投資が必要だが、昔ながらの自伐型は個人が少ない投資でも始められるのが強み。推進協会の四宮成晴理事は「条件さえ合えば月5万~15万円程度の収入も見込める」と説明する。

 大磯の研修では定員15人に対し2倍の応募があり、8月に企画した自伐型林業のフォーラムも町内外から参加者が定員を超える盛況ぶり。四宮理事は「自然志向の高まりもあり、関東圏では特に研修に人が殺到する。専業では生活の不安もあるが、副業なら参入しやすいのでは」と推測する。

新モデルを模索

 近隣では静岡県熱海市が2016年から定住促進策の一環として小規模林業の担い手を育成。研修参加者らが団体を結成し、週末を利用した市有地の山林の保全活動に取り組んでいる。大磯でも住民有志が市民グループ「大磯きこりラボラトリー」を立ち上げ、9月には町内の山林所有者から管理委託を受けた。

 「荒廃した山林や耕作放棄地を見て、誰かが管理をしなければという思いがあった」とラボラトリーの山中紀幸代表。30~40代を中心とした20人のメンバーの一部は研修にも参加する。

 今後の課題は収益化に向けた販路の開拓だ。広葉樹は木材に不向きだが、薪ストーブ愛好者やキャンプ客をターゲットにしたネット販売なら将来性があると見込む。町は「首都圏の大きなマーケットに売り込んでいきたい」とし、山中代表は「地域性も考えながら試行錯誤して大磯モデルとも言える新しい林業を作り上げたい」。官民の手探りが続く。

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