関連書籍のご紹介

日本農業新聞(12月3日付)に「現場からの農村学教室76 田舎生活支える「自伐型」」が掲載されました。

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 日本農業新聞・日曜版の恒例コーナー「現場からの農村学教室」に12月3日、「田舎生活支える「自伐型」」(執筆:上垣喜寛(自伐協事務局長))と題した自伐型林業の記事が掲載されました。

 鳥取県智頭町の自伐型林業の実践者たちの取り組みから、全国普及推進、国の動き、そして森林環境税に触れたものになっています。

 勉強会やフォーラムの資料としてもご活用下さい。


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田舎生活支える「自伐型」

 「自伐型」と呼ばれる林業への関心が高まっている。もとは持ち山から、自力で木材を切り出す方式を指してきた。昨今は中山間地に住み着いた移住者や、Uターン、さらに一世代を越えて地元に戻る孫ターン者が、個人やグループで地元の山の手入れを担うようになっている。
 鳥取県智頭町に住む大谷訓大さん(35)は、田んぼ約1.5ヘクタールと、約40ヘクタールの山林を先代から引き継いでいる。農業と林業を営む「農家林家」だ。大阪でサラリーマンとして勤務した後、海外生活を経て、2010年に地元の同町にUターンした。大谷さんが取り組む林業は、山林所有者や地域住民が山に入って自ら材を切り出す林業で、「自伐型林業」と呼ばれる。短期的な生産量を追い求める大規模林業(伐採業)と違い、間伐生産しながら蓄積量(在庫)を増やす長期視点の持続的森林経営だ。さらに低投資・低コストでできるため、現状の材価でも手元に収入が残る手法として注目されている。
 山に入る年間スケジュールは自分で決められるので、春から農業に励み、稲の収穫が終わる頃から林業にシフトするような兼業スタイルを築けるのも魅力の一つだ。大谷さん自身も林業をしながら、米を直売し、減反田ではホップを育てて地元のクラフトビール生産者に出荷している。ホップの生産は「半分遊び感覚」と笑う。
 智頭町は、15年度から自伐型林業を政策に取り入れ、担い手の育成に取り組んできた。今年で3年目を迎えた林業塾は、チェーンソーの取り扱いから伐倒・造材、作業道の開設、林業経営を10日間にわたって学ぶ。
 大谷さんの林業パートナーの小谷洋太さん(32)も研修卒業生だ。小谷さんは林業の傍ら、森林での副業を組み合わせた生業をつくる。生花もやり、シーズンになるとヒサカキ(仏事用)を花屋に卸す。「将来的には生け花用の花木を植えたい」と、林業を主業に据えた将来像を描く。

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 自伐型林業の魅力は、林業を主軸に置きながら、さまざまな副業を組み合わせた生業をつくれるところにある。農業だけでは生活が厳しくても、一定の山を確保して自伐をすれば、「遊び」のある農的な暮らしも現実味を帯びる。山の面積に合わせた収入の見込みも立てられる。
 林業といえば、危険が伴うのでプロに任せるのが一般的だ。山林所有者が森林組合や事業体に整備を任せ、そこから発生した伐採や植林などの仕事を林業者個人が請け負う。林業者は毎回違う現場を転々とし、作業期間が終われば同じ山に入ることはまずない。生活は安定しづらく、「林業の担い手不足」にもつながる積年の課題だ。

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 一方、大谷さんが取り組む自伐型林業は、人任せにせずに自ら責任を持つ自立・自営型の林業だ。最も重視するのは山に整備する道造りで、幅2.5メートル以下の小径(こみち)を山林に整備し、クモの巣のように張り巡らせ、いつでも車両で入れるような山をつくる。大雨にも耐える「壊れない道づくり」をモットーにした丁寧な道づくりは、余計な山崩れを予防する。
 また、任された山は継続的に収入を得られるような山に仕上げるので、一斉に木を伐採して50年以上は収入の見込みがない「皆伐」などの過度な伐採は避けている。大谷さんの場合は、必要最低限の間伐率(2割以下)で良木を残すことを心掛け、山全体の価値を上げていく。持続可能な環境保全型の林業とも言われる。

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 自伐型林業のような、小規模でも始められる林業がどうしてこれまで注目されてこなかったのか。国は2000年代から……(続きは紙面PDF(2.0MB)より)

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■自伐最新本『小さい林業で稼ぐコツ』が発売!自伐展開を目指す方へ(17年9月26日/自伐協HP)
https://zibatsu.jp/wordpress/books/smallforestry

■「NHK地域づくりアーカイブス」で中嶋健造を特集した番組が公開されました。(17年12月1日/自伐協HP)
https://zibatsu.jp/wordpress/info/news/nhkarcives20171202

 

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