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自伐の魅力を伝える「無垢材流通開発・拡大プロジェクト」
2009年に政府は「2020年までに木材自給率50%以上を」という目標を掲げました。木材自給率とは、木材の供給量に占める国産木材の割合で、2016年現在約3割となっています。その数字をアップさせるために政策的に進めているのは、乾燥した板を接着剤ではりあわせた「集成材」の増産と、木質バイオマス発電の建設です。
価値がないとされてきた木材(C材など)や製材所からの廃棄材を活用できる一方で、大きな施設の建設ラッシュが全国で起こり、その工場をまわすために山側では樹齢50年で山林を一斉伐採する皆伐(かいばつ)や、「列状間伐」のような大量供給・生産効率性第一の過度な間伐が広がっています。100年齢を超えるような無垢(むく)材として使える建築用材までもが、細かく切り刻まれて集成材やチップになっています。伐採された山林は、数十年は収入を上げられないような山林へと変貌しているのです。
このような現状に対して、当協会は木材を加工・消費する側とのネットワークを築き始めました。特に無垢材の価値を理解し、活用方法を模索している建築家やアーティストと議論を重ね、新しい無垢材利用のあり方、利用を推進する検討をしています。
無垢材利用拡大に向けた建築家たちとの協議
それが、「良い木を選んで大径木に育てる(択伐)」という山側の長期的な視点を、ネットワークで共有して進める「無垢材流通開発・拡大プロジェクト」です。
樹齢200年を超える吉野杉(奈良県)
具体的には、まず、山の現状や無垢材の魅力を多くの人の手に渡らせるため、吉野材から作られたお箸をコンセプトツールとしてブラッシュアップし、海外のフードコーディネーターや国内の発信力のある飲食店経営者などとコミュニケーションを図り、ネットワーク構築に取り組んでいます。
吉野杉の割り箸
今後、若手建築家、ハウスメーカー、リノベーション事業者、アーティスト、研究者などを組織し、新たな需要の創出やライフスタイルの提案を行うネットワークを構築していきます。これからは無垢材の利用・流通拡大を通じて山にしっかりお金を戻す仕組みを構築することを目標としていきます。
無垢材家具(吉野町「聖山」にて)
【無垢材流通開発・拡大プロジェクト】
建築家やアーティストなどと協働し、無垢材をライフスタイルに組み込んでいく方法を生み出し、利用・流通拡大を通じて山にしっかりお金を戻す仕組みを構築することを目標としています。
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