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活動紹介1| 九州地区自伐型林業研究会​

事業名

九州で暮らし環境を守る林業塾

─九州林業塾─

九州地方で自伐型林業の本格的な講習会「九州林業塾」がスタートしました。その講習日数はなんと50日間! 主催するのは「九州地区自伐型林業連絡会」です。

同会の事務局長である野々下博司さんが、日本唯一の林業専門番組「ZIBATSUニュース」(NPO法人自伐型林業推進協会)にゲストで招かれ、企画内容や申し込みの様子を紹介しました。

九州のこの動きは、新型コロナウイルス感染症の影響を受けた人たちを対象にした、自伐型林業による担い手育成を行う助成事業「失業者を救う自伐型林業参入支援事業〜アフターコロナの持続・自立した生業の創出〜」を活用した全国5地区の中の一つの事業になります。

「単なる研修だけでは育てきれない」

本格的な担い手育成をスタートさせた「九州林業塾」

「九州地区自伐型林業連絡会」の行う「九州林業塾」では、50日研修が1つの大きな事業となっています。他にも、どうやって山を確保するのか、また自伐型林業をしたい人と山主さんのマッチングができるように工夫できることはないかと考え、それも1つの事業として取り入れています。

そもそも、「九州林業塾」の始まりは、福岡の「八女の林業塾」、大分の「下毛の里自伐型林業研究会」、宮崎の「延岡自伐型林業研究会」という3つの団体が中心となって、2020年の1月26日に「九州地区自伐型林業連絡会」を立ち上げたことにあります。

連絡会の目的は、各地の研修情報を伝えることです。そうすることで自伐型林業者育成のお手伝いができたらと思っていました。ところが、休眠預金事業というのがあると聞いて、みんなで話し合ったんですね。やはり、単なる研修をするだけでは実際に自伐型林業の担い手を育てきれない、もっと本格的な研修とマッチングなどをしなくては、人材が定着しない、就業にはならないのではないか、という意見がでました。というのも、私たちは今2カ所の山を預かって管理していますが、実際に山を見つけるのがとても大変でした。これから自伐型林業を志す人は、みなが体験することです。そういう体験をもとにして、この「九州林業塾」ができました。

(結成前に訪問した奈良県吉野で目指すべき山をメンバーで共有した)

九州で暮らし環境を守る林業塾は、1地域の定員が5人で、3地域あるので、計15人の定員で募集をかけました。その後、各地域でトライル研修会を行って、そこで選考会なるものを開きました。でも、実際にそこに来た人たちの話を聞くと、「やりたいけど、どうやっていいかわからない」、「どこでやるの」、「どんな道具がいるのか」といったことを聞きたい、「とりあえず申し込みました」という方も結構いらして、選考会というより、情報共有のようなものになりました。かつては私たちもそうでしたが、みなさん、自伐型林業の情報に飢えているんですね。

私たちが管理している山は10haほどの面積で、70年生の杉の木が中心ですが、檜も広葉樹もあります。大事に育てられた山で、嬉しいくらい大きな木があります。山主さんはお隣の自治体の方です。お父さんの代から、地元の一人の山守(管理人)さんに、管理をお願いしていたようです。大事にやっていたのですが、その人が高齢化してさてどうしようかというときに、私たちと出会いまして、管理を引き継ぐことになりました。とても嬉しかったですね。haあたり300メートル、トータルで3キロくらいの道をいれようと考えています。すでに去年から道づくりを始めて、1キロほどは道がついています。道づくりは、徳島県の橋本光治さんに教わっており、ルート選定、道路の作り方などにおいて特訓を受けています。

(急傾斜地をのぼるヘアピンカーブ)

2週間ほどかけて、橋本先生に叱咤激励を受けながら道づくりをしました。やはり、年に何回か、それも週末にやるのとは違って、2週間連続して集中して教わると、私たちも一皮向けたなと思うほど上達します。バックホーなどの機械は私のもので、中古で買いました。研究会のみんなでフリーで使っています。

私の経歴をお話すると、もともとは役場の職員でした。その後、自伐型林業に目覚めて全くの素人からスタートして、バックホーは60過ぎの手習です。笑い話みたいなのですが、最初は特別教育を受けて少しはバックホーを運転できるようになったのですが、道づくりとなるとうまくできず、鍬の方が早いからと、みんなで鍬で道を作ったことを思い出しますね。今はもう大丈夫ですけどね。

いろんな地域からうちの会員になってくださっています。熊本から通ってくる方もいて、遠くは下関あたりから参加してくれています。九州出身で、地元に帰省する際に研修に参加するということで、埼玉県の方もいます。それだけ自伐型林業の研修に飢えている人たちがいるということですよね。われわれも昔はそうでした。ブログでつながって、その方の住む八女市まで数時間、車を飛ばしていって研修会に参加したりしましたね。

九州林業塾の申し込みはすでに終了しています。申し込みは、32名ありました。なかなか集まらないかと思っておりましたが、ほっとしました。その中から15名の方を選考させていただきました。1回目の研修がトライアルで、先ほどお話ししました。2回目は、2/15から始まり、9月までのトータルで「50日」という研修計画です。これまでに、厚生労働省の20日間研修も経験しましたので、私たちも研修に慣れてきました。バックホーとチェーンソーと林内作業車の特別教室、座学、補助金の申請の仕方、施設見学、実技をできるだけたくさんやろうという研修になっています。

失業者をおもな対象者としているのが休眠預金事業ですが、コロナの影響によって失業された方がいらして、そういった方がトライアル研修に来ています。例えば、イベント関係の仕事をしていてコロナで収入が減ったとか、櫨(はぜ)を使って和蝋燭を作っていたが仕事が少なくなったので櫨の木を植えて手入れ・育成をしたいという方もいます。他にも、現在、失業状態であり、生活のベースに自伐型林業を考えているという方もやはりいらっしゃり、遠くから時間をかけて通って参加してくれています。オンラインも取り入れつつ、ソーシャルディスタンスを取りつつ、消毒も徹底し、感染を起こさないようにして研修継続はしていきたいです。

 今後の目標としては、参加者の6割の9名を目標に、山で施行を行えるレベルにまで人材育成をしたいですね。そんな人が生まれるといいなと思っています。なんといっても、林業に就業してもらうというのが私たちの成果ですよね。先日は、20日間研修を終えた人が、「林業、頑張ってますよ」と報告に訪れてきてくれました。

 自伐協から紹介されて私たちのところまで訪ねて来てくれる人たちもいます。先日は、大分県から2人の方が来ました。一人は20代の女性でした。私たちには、延岡、八女、下毛以外にも、鹿児島、中津、日田にも仲間がいます。熊本、長崎にも自伐の団体が立ち上がろうとしています。マッチングもできるので、いろんなリクエストがありましたらお寄せください。仲間を一緒に作っていきましょう。(放送日:2021年1月21日)

団体名:九州地区自伐型林業研究会

ホームページ:https://www.qsyuzibatsu.com/

問い合わせ先:qsyuringyojyuku※gmail.com(※を@に変換して使用下さい)

Posted in 実行団体の活動

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