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「自分の頭で考える林業を」 5年目の若手らが愛媛で“造材”を学ぶ
(写真中央が講師の菊池俊一郎さん/撮影:谷岡宏一)
愛媛県西予市で5月16日から4日間、自伐協の若手が合宿を開催しました。全国の若手らが集まる自伐グループ「先祖の山守り隊」のうち、林業を始めて3〜5年ほどの四国のメンバーが中心になって企画したもので、だいたいのメンバーは一通りの作業(伐木・造材・搬出・作業道敷設)ができる人たちです。
合宿の現場は、自伐型林業家のモデルとしている菊池俊一郎さんの山です。菊池さんは農業との兼業をする自伐林家。補助は一切受けていません。そして、今回のテーマは、「物事には必ず理由がある」です。木を伐る、倒す方向、ウケの角度、すべての作業に筋道をつける心がけをしました。「なぜ4メートルに造材したのか」を問われて、「え?理由?講師がそう教えてくれたからです」は、そろそろ卒業!というわけです。
この合宿で菊池さんから学ぶのは「造材」です。実際に研修に入る前に、菊池さんは一枚の紙をメンバーに配りました。材木の相場表です。一本あたりの単価が末口の口径と長さ別にリスト化されているもの。その相場表をもとに、造材の方法をみんなで考えていく研修です。
(写真:講習当日に市場で入手した相場表)
さてさて、最初に菊池さんが造材するために選んだ木は、直径14センチほどのヒノキです。全国どこにでもある質のもので、それをいかに高く売る(価値を上げる)ような造材に仕上げるかを考えていきました。菊池さんのアドバイスをもとに造材してみると、何も考えずに造材した(A材とC材で単純に造材)のに比べて、その売上の差は一本あたり1,000円以上。じっくり作業しても15分ほどの作業なので、たとえその差が数百円であっても積み重ねれば一日で数千円の額になります。それも、この程度の木は支障木や間伐材でもっとも出てきやすい木です。四万十市から参加した谷吉勇太さんは、すぐに年間の見込み収入を計算し、「ちょっと伐り方を意識をするだけで、何十万も変わるやないですか!」と眼の色をかえてメンバーらと話していました。
(写真:尺を計りながら金額の違いを見ていく)
自伐型林業で将来にわたって生計を立てていくためには、できるだけ山に木を残しながら(伐りすぎない)、余計な手間を省き(無駄な経費をかけない)、いかに手元に収入を残すかがポイントになります。機械的に作業するのではなく、木を選ぶところから出荷するまでの作業全体をイメージし、根拠をもって行動する意識をつけるのは重要になります。
講師をした菊池さんは、「今までみなさんは広く浅い自伐型林業をしてきましたが、これからはそれぞれの環境で一人、グループ、そして夫婦などさまざまな環境にあった自伐型林業の形をつくって展開してほしい。自分の頭で考えながら、“何事にも理由がある”ということを意識していけばその先に見えてくる景色は変わってきますよ」と話しました。
今回の合宿は、「先祖の山守り隊」のうち四国メンバーが中心になり、自伐型林業推進協会の協力を得て企画・実現したものです。「先祖の山守り隊」代表の平井明日菜さんは、「研修の形は一つではありません。若手のグループは東北、北陸、関西、中国地方など出てきており、各地が自分たちで何を学びたいかを考えて企画してくれることを期待したいです」と今後の展開の広がりに期待をしました。
みなさんも今学びたいこと、学ぶべきことは何か、をじっくり考えて企画してみてはいかがでしょうか。(事務局)
(写真:「次は何を企画しようか」と講師を交えた懇親会)
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